出典
Financial Times報道を引用したOpen Jaw(openjaw.com)、AFAR(afar.com)、The Points Guy(thepointsguy.com)、ETIAS公式解説サイト(etias.com)の記事、および外務省・JTB・トリファ等の解説記事をもとに作成しました。
要約
欧州へのビザ免除渡航者に事前オンライン認証を義務付ける「ETIAS(欧州渡航情報認証制度)」について、Financial Timesの報道をもとに複数の海外メディアが、2026年内の導入が事実上困難になったと伝えています。Financial Timesの報道によれば、ETIASの開始は2027年まで延期されることになり、直近では2026年末に発効する予定だった。
制度の開発を担うEU機関eu-LISAの内部でも、年内の稼働開始は困難との見方が強まっているとされています。最近まで公式のスケジュールは2026年第4四半期を指し示していたが、ETIASを開発するEU機関eu-LISAは、2026年中の導入はもはや現実的ではないとの結論に達したと報じられている。
一方でEUの公式サイト上ではまだ表向きの予定は変更されていません。公にはこれまでのスケジュールは変わっておらず、欧州委員会が別の発表をするまでは2026年第4四半期が唯一の公式な開始予定となっている。今後の方針は、9月に予定されているeu-LISA運営委員会での協議を経て決まる見通しです。関係者によれば、運営委員会は9月に再び会合を開き、新たなスケジュールを検討する予定だという。
考察
ETIASの延期は今回が初めてではありません。ETIASが延期されるのはこれが初めてではなく、当初2023年春に開始予定だったこの電子認証は、これまでも複数回にわたり延期を重ねてきた。度重なる延期の背景には、システム開発の複雑さと加盟国間の調整の難しさがあるとみられます。
今回の遅延の要因としては、技術的な問題に加え、すでに稼働している出入国管理システム「EES」との連携課題が指摘されています。EU域内の司法・内務担当委員は、遅延の一因として加盟国側の人員不足やインフラの未整備、EES関連の問題を挙げている。ETIASは単独のシステムではなく、EESの安定稼働を前提として設計されているため、EES側の混乱が計画全体に波及した形です。
ただし、遅延の規模については見方が分かれています。あるEU関係者は、遅延があったとしても限定的で、必要なのは追加であと一四半期か一カ月程度だろうと述べている。大幅な延期になるのか、小幅な調整にとどまるのかは、今後の運営委員会の議論次第といえるでしょう。
日本人への影響
今すぐの手続きは不要、現状維持で安心EESは既に本格運用中、空港での生体認証には注意開始日発表後は早めの申請準備が必要に
日本はシェンゲン協定加盟国に対してビザ免除の対象となっているため、ETIASが導入されれば日本人旅行者も事前オンライン認証が必須になります。しかし今回の延期報道により、当面はこれまで通りパスポートのみでの入国が続く見込みです。2026年7月7日時点でETIASはまだ稼働しておらず、開始時期が2026年第4四半期または年内後半とされる中でも、ビザ免除で渡航する人が今すぐ申請を行う必要はない。今夏から秋にかけて欧州旅行を計画している人にとっては、準備の手間が増えないという点で安心材料といえます。
一方で、ETIASとは別に導入が先行している「EES(出入国管理システム)」については、既に本格運用が始まっている点に注意が必要です。EESは2026年4月上旬に完全稼働に至っており、アイルランドとキプロスを除くシェンゲン圏各国および、ノルウェー・アイスランド・スイスに適用されている。ETIASの延期とは関係なく、空港の入出国審査では指紋や顔写真登録の手続きが求められる場面が増えているため、渡航時には時間に余裕を持つことが望ましいでしょう。
今後の見通しとしては、EU側が具体的な開始日を正式発表するのは、実際の稼働開始よりかなり前になるとされています。公式サイトは2026年第4四半期という目標を取り下げ、開始日はシステム稼働の数カ月前にEUが発表するとしている。そのため、正式発表があった際には焦らず情報を確認し、申請料の支払いやオンライン申請の手順を早めに把握しておくと安心です。制度開始後も移行期間や猶予期間が設けられる可能性が高いとみられていますが、正式な発表が出るまでは公式情報以外の申請代行サイトなどには注意し、外務省や欧州委員会の公式発表を確認する習慣を持つことが大切です。
