出典
日本経済新聞「タイ、ビザ免除の期間短縮 60→30日に 不法就労を防止」、bangkokshuho.com「タイ内閣が観光ビザ免除期間を短縮 60日から30日に 対象は65カ国・地域」、Paglipat「タイ、ビザなし滞在を30日へ短縮:新ルール解説」等を参照
要約
タイ内閣は2026年5月19日、日本を含む65カ国・地域を対象とした観光目的のビザ免除滞在期間を、現行の60日間から30日間に短縮する方針を承認した。この改定は官報への掲載から15日後に施行される予定で、既に新制度施行前に入国している外国人については従来の許可期間が適用される。
背景にあるのは、長期のノービザ滞在を悪用した不法就労や特殊詐欺、違法ビジネスの横行だ。タイ政府は2024年7月、観光業回復を目的に対象国を拡大し滞在可能日数を60日に延ばしていたが、想定を超える不正利用が問題視され、方針転換に至った。
なお、30日のビザ免除で入国した後も、現地の入国管理局で1,900バーツ(約53米ドル)を支払えば30日間の延長申請が可能で、実質的には合計60日まで滞在できる仕組みは維持される。また、ビザ免除での入国は暦年で最大2回までという回数制限も既に導入されている。
考察
今回の措置は、タイに限らず東南アジア各国で見られる「緩和一辺倒からの揺り戻し」の一例と言える。コロナ後の観光需要喚起のために緩和されたビザ免除制度が、想定外の形で悪用された結果、治安・労働市場への悪影響を懸念した政府が再び引き締めに動く構図だ。
一方で、延長申請という手続きを踏めば従来同様の60日滞在が可能な設計になっている点は、観光目的の渡航者への配慮とも読み取れる。単純な「規制強化」というより、性善説から性弁別型の制度への移行と捉えるべきだろう。
施行時期については、官報掲載から15日後という規定はあるものの、具体的な掲載日は流動的で、情報源によって「2026年6月頃」との見立てもあれば、正式な確定情報がまだ出ていないとする報道もある。タイ大使館など公式情報の継続的な確認が欠かせない状況だ。
日本人への影響
1〜2週間の一般観光旅行は影響なし30日超の長期滞在は延長申請が必須に正式な施行日はまだ流動的
一般的な1〜2週間程度の観光旅行であれば、30日という新たな免除期間でも十分に収まるため、大多数の日本人旅行者にとって実質的な影響はほとんどないと考えられる。この点は安心材料と言える。
一方、ロングステイやバックパッカー旅行、いわゆる「ビザラン」を前提とした滞在計画を立てている人にとっては、今後は現地の入国管理局での延長手続き(手数料1,900バーツ)が必須となり、手間とコストが増える点は注意が必要だ。
また、制度改定の正式な施行日が官報掲載を起点とするため、渡航時期によっては新旧どちらの制度が適用されるか変わる可能性がある。渡航直前には在タイ日本国大使館や在京タイ王国大使館の公式情報で最新の運用状況を確認することを強くおすすめしたい。

