出典
本記事は、Federal Register(米国連邦官報)、Fragomen(移民法専門法律事務所)、Reuters配信記事を転載したThe Star、American Bazaar Online、travelvision.jp(トラベルビジョン)の報道を基に作成しています。
要約
米国務省は2025年8月から試験導入していたB-1・B-2(商用・観光)ビザ申請者向けの「ビザ保証金制度」を、2026年8月3日付で恒久化しました。連邦官報に掲載された最終規則により、試験運用時に最大1万5000ドルだった保証金の上限は、最大2万ドルへと引き上げられています。
対象となるのは、超過滞在率の高さや身元確認の不備などが指摘される国の国民で、現時点でアフリカ諸国を中心とした50カ国が指定されています。保証金は5000ドル刻みで1万・1万5000・2万ドルの3段階に設定され、滞在条件を守って出国すれば返還される仕組みです。
この動きを受けて、米国旅行協会(US Travel Association)のジェフ・フリーマン会長は現地時間8月12日、ロイター通信の取材に対し、制度がビザを必要とするさらに多くの国、場合によっては全ての国へ拡大される可能性があるとの懸念を表明しました。同会長は、対象国からの渡航者数は米国への総渡航者数の2%未満にとどまる一方、カナダやアジアからの渡航者数もすでに大きく落ち込んでいると指摘しています。
考察
今回の恒久化で注目すべきは、単なる制度延長ではなく保証金額そのものが引き上げられた点です。試験運用の10カ月間で対象国からのビザ発給数が約83%減少したというデータもあり、制度が渡航のハードルとして強く機能していることがうかがえます。
米国政府は制度の目的をあくまで「ビザの超過滞在対策」や「身元確認の強化」としていますが、業界団体側は既に対象国のリストが15日前通知で随時追加できる仕組みになっている点を問題視しています。今後、どの国が新たに対象となるかは予測が難しく、旅行会社や渡航者にとって不透明感が残る状況です。
また、米国への海外渡航者数は2026年に入ってから前年比で減少傾向にあり、サッカーワールドカップ開催中の6月ですら渡航者数が落ち込んだとされています。渡航促進とビザ管理強化という相反する政策が同時に進んでいる点も、今後の議論の焦点になりそうです。
日本人への影響
日本はビザ免除渡航者、現時点で対象外ESTAでの短期渡航には直接影響なし将来的な対象国拡大の可能性は排除できず米国渡航全体の混雑・審査厳格化のあおりを受ける可能性
現在、日本国籍者の多くはビザ免除プログラム(ESTA)を利用して米国へ短期渡航しており、今回のビザ保証金制度はB-1・B-2の通常ビザ申請者を対象としているため、直接的な影響は基本的にありません。指定されている50カ国も現時点ではアフリカ諸国を中心とした国々であり、日本は含まれていません。
ただし、米国旅行協会の会長自身が「ビザが必要な全ての国への拡大」の可能性に言及している点は見過ごせません。今後、制度の対象範囲や運用方針が変わった場合、就労ビザや長期滞在ビザなど通常のビザ申請を行う日本人にも無関係とは言い切れない状況です。
また、今回の制度強化は米国への渡航需要そのものを冷え込ませる一因になっているとの指摘もあり、入国審査の厳格化や空港の混雑など、ビザの有無にかかわらず渡航環境全体に影響が及ぶ可能性もあります。米国へ渡航予定がある場合は、直前だけでなく定期的に最新の対象国リストや入国要件を確認しておくと安心です。

