日本版ESTA「JESTA」創設へ 入管法改正が成立、訪日外国人に事前認証が義務化

出典

日本経済新聞(nikkei.com)、NHKニュース(news.web.nhk)、自由民主党公式サイト(jimin.jp)、Yahoo!ニュース(news.yahoo.co.jp、共同通信配信)、第一生命経済研究所(dlri.co.jp)、IACEトラベル(iace.co.jp)の各報道・解説記事を参照しています。

要約

2026年3月10日、日本政府は出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正案を閣議決定しました。この改正案には、米国のESTAを参考にした電子渡航認証制度「JESTA(Japan Electronic System for Travel Authorization)」の創設と、在留資格の変更・更新・永住許可に係る手数料の上限額の大幅な引き上げが盛り込まれています。

JESTAは、ビザ免除で日本を訪れる外国人旅行者に対し、渡航前にオンラインで氏名や滞在目的・場所などの情報を提出させ、事前に審査を行う制度です。政府は2028年度中の運用開始を目指しています。JESTAの認証を得ていない場合は、航空機や船舶への搭乗自体ができなくなる仕組みで、乗り継ぎのために一時的に日本に入国する外国人の一部も審査対象に含まれます。

改正案はその後、2026年4月28日に衆議院本会議で可決・通過し、5月28日には参議院法務委員会で自民党・日本維新の会・国民民主党・公明党などの賛成多数で可決されました。そして5月29日、参議院本会議で賛成多数により可決・成立し、JESTA創設を含む入管法改正が正式に決まりました。

考察

JESTA創設の背景には、訪日外国人の急増に伴う不法残留対策と入国審査の円滑化という2つの狙いがあります。法務省が掲げる不法滞在者対策の一環として、不法滞在中の外国人のうち約6割がビザ免除国からの渡航者であるという実態が指摘されており、出発前の段階でリスクの高い渡航者を把握・排除する仕組みが求められていました。

同時に、認証済みの旅客については入国審査を円滑化し、空港の混雑抑制にもつなげる狙いがあるとされています。近年、訪日外国人数の急増によって主要空港の入国審査ブースが混雑する場面が増えており、事前審査によって現地での審査時間短縮が期待されています。

この制度は米国のESTAだけでなく、EUのETIAS(欧州渡航情報認証制度)や韓国のK-ETAなど、世界各国で広がる「事前渡航認証」の流れに日本も追随する形と言えます。日本人が海外に行く際にはすでにESTAやETIASのような手続きを経験している人も多く、今回のJESTA創設は、いわば「立場が逆転」して外国人が日本に入国する際に同様の手続きを求められることを意味します。

日本人への影響

日本人自身の出国・入国手続きに直接の変更はない外国人の友人・家族・取引先の来日手続きが変わる在留資格変更・永住許可の手数料が大幅に上昇

JESTAはあくまで「ビザ免除で日本を訪れる外国人旅行者」を対象とした制度であるため、日本国籍を持つ人が海外へ出国したり、日本に帰国したりする際の手続きに直接的な変更はありません。この点は、海外旅行を計画している日本人にとってはまず安心材料と言えるでしょう。

一方で注意したいのは、海外に住む友人や家族、国際結婚した配偶者、あるいはビジネスパートナーを日本に招く機会がある人への影響です。今後は招待する外国人がJESTAの事前認証を取得していないと航空機への搭乗すら認められなくなるため、訪日を予定している知人がいる場合は早めに制度の概要を伝えておく必要があります。

また、改正案には在留資格の変更許可や更新許可、永住許可の手数料の上限を大幅に引き上げる内容も含まれており、現行の上限1万円から、在留資格の変更・更新許可は10万円、永住許可は30万円へと引き上げられます。国際結婚をしている家庭や、外国籍の家族を持つ日本人にとっては、今後の費用負担が増える可能性がある点に留意が必要です。制度の詳細な運用開始時期(2028年度中の予定)や対象国の範囲については、今後の政省令整備の動向を注視する必要があります。

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